既存のCD/SACDプレーヤーを生かして
旬の“ハイレゾCD”を楽しむ
MQA-CDを楽しむ作法は、極めて簡単です。ハイレゾ再生をするには、パソコンなど色々な知識が必要になる場合がありますが、MQA-CDならそんな煩わしさも全くありません。ここでは、今までお使いのプレーヤーを生かして外付けのMQAデコーダーをつないで、MQA-CDを楽しむ方法を紹介します。MQA-CDの開発メーカーである、メリディアンの218を使って説明していきたいと思います。セッティングのあれこれを少し紹介させていただきます。
オーソドックスなオーディオシステムなら、同軸ケーブル接続がお薦め
218の発売依頼、色々な専門店でデモ試聴を行っていただいてきました。その9割以上は、同軸出力(RCA 75Ω)での接続でした。信号経路としては、SACD/CDPLの同軸出力からMQA―DACの同軸入力端子へ、MQA-DACのアナログ出力からプリ(メイン)アンプのアナログ(AUXなど)の入力端子へという流れになります。ケーブルのインピーダンス・マッチングは、ハイレゾ再生には思いのほか影響が大きいので必ず75Ωのケーブルを使います。ソース機器から送られるデリケートなハイレゾ信号を正しくDACまで伝送して貴重なマスタークオリティのMQAーCDの価値を最大限、味わいたいものです。
ワンランク上のケーブルでハイレゾCDの醍醐味を
ハイレゾCDには、是非ワンランク上のデジタル・ケーブルを試してみてください。いたずらに高価なケーブルは必要ありません。シールド層がしっかりしていること。コネクターの信頼性の良いもので安定して良い音質が得られます。218には、ウルトラDAC(250万円税別)にも搭載されているきわめてユニークなクロック回路が採用されています。ディスク再生で問題になるジッター対策はハイエンド機なみですので、是非そのポテンシャルを発揮させるためにも、ケーブルにも目を向けていただけると幸いです。
色々なノイズ対策に有効な光ケーブル
CDPLとアンプだけの接続の場合は、まず同軸ケーブルを使う方が多いのですが、注意すべきはパソコンやNASを使ったいわゆるハイレゾ環境に、さらにDACを追加する場合です。ある専門店さまではNASを使ったネットワーク環境にMQAデコーダーを追加していただきましたが、その折りには光ケーブルを使われました。光接続によって電気的な結合を避けた方が良い場合があります。また、電源、ネットワーク、USB、アナログなど色々なケーブルが集中しているときには、外来ノイズの影響を受けない、また電気的ノイズの影響をを周囲に与えない光ケーブルのメリットが生かされます。また、1-2mなら光ケーブルより同軸ケーブルが優位とされますが、距離が伸びると光ケーブルが優位とも言われます。
他ケーブルと干渉しないよう適切な長さのケーブルを選ぶ
最後にケーブルは無用に長いものは必要ないわけですが、どう引き回すか事前に少し検討しましょう。CDとMQAデコーダーをつなぐ同軸ケーブルはフォーマットこそ44k16bitbに過ぎませんが、実質はデリケートなハイレゾ信号を伝送している訳です。従ってまず、同軸ケーブルと電源ケーブルとの接触、接近は御法度なので十分留意します。それから、スピーカーケーブルやアンプに接続されいるピンケーブル(アナログ)にも接触しないように距離をとれることが望ましいです。もし、NASやパソコンも使っているときには、それら本体やケーブルとなるだけ交錯しないようにします。引き回しを考えると、固めのケーブルより、柔らかいケーブルの方が扱いやすい場合があります。まず何か手元のピンケーブルで実際に仮接続してみると、どのぐらいの長さが最適なのかすぐわかります。
音質チェックは、まず聴き慣れた普通のCDで
MQA-CDは、100%物理的には普通のCDと同じ仕様です。従って普通のCDが良く再生できるかどうか、はセッティングを検討する上でとても参考になります。
またSACDとMQAの違いも中々興味深いものですので、ぜひ試してみてください。例えばユニバーサルミュージックから発売されているMQA-CDは、もともとSACDとして発売されていたDSDマスターを使っていますので、同じマスターから作られたSACDタイトルをお持ちなら、比べてみることもお薦めです。なお、MQA―CDは44.1kの整数倍のサンプリング周波数で収録されていますが、実はサンプリング周波数にMQAの音質効果は殆ど依存していません。44.1k24bitでも通常のCDとの違い=時間軸情報のボケは小さく、文字通りハイレゾCDとして楽しむことができます。スペックに踊らされないで良い演奏、良い録音の好きなディスクを選んで楽しんでください。この時間軸のボケは88kでスタジオレベルになり、172k、352kでも再生上の差異は殆ど感じられません。そこは、通常のハイレゾとMQAの違うところです。
おやっ!MQA再生インジケーターが点灯しないときは?
お手持ちのプレーヤーのSPDIF出力にアップサンプリング機能があるケースがあります。再生側が必ず、44kHz16bitのオリジナルのSPDIF信号を送り出すことが必要です。アップサンプリングしてしまうと、MQAが折り畳んでいたハイレゾ成分の信号が変化して、MQA信号ではなく単なるPCM信号として出力されます。それでも音質的には、CD以上となるため、ランプの故障か?と感じるときもありますが、MQAデコードが正しくされた時には、必ずインジケーターが点灯します。プロ用モデルで一部48k出力になっているものがあるそうですが、MQA-CDの送り出しには不適格です。やはり44k16bitの直出しが必要です。
ハイレゾCD再生には、確かにMQA-CD再生プレーヤーが、最も簡便な方法です。しかし愛着のあるお手持ちプレーヤーとMQA-DACとの組み合わせでケーブル選びを楽しんであれこれ、チューンしてみるのも、またオーディオ好きにとっては、楽しい時間ではないでしょうか。MQA-CDの開発者が設計したMeridian218は、ディスク再生派にぜひお使いいただきたいハイレゾ再生入門機です。コンパクトで置き場所の自由度が高いのでしっかりした設置スペースを選択するとさらにクオリティの向上が期待できます。
参考資料
音楽之友社 月刊ステレオ 2019年2月号
https://www.ongakunotomo.co.jp/catalog/detail.php?code=051902
オーディオを科学する「最新デジタル伝送」(柴崎 功)
どう聴けばいいのか?MQA-CD(土方久明)