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『カラヤン ザ・ベスト・オブ・マエストロ』

 曲目解説 トラック1〜トラック13  


 

1曲目から順番に説明することにしよう。

 

トラック1,モーツァルト セレナード13番 K.(ケッヘル番号)525 アイネ・クライネ・ナハトムジーク

カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

1959年12月ベルリン・グリューネバルト教会 05:50

 

天衣無縫の明るさでなめらかに耳にスーッと入っていけるメロディー。モーツァルトの真骨頂。

クラシック中の代表格といってよく、日本人の一番好きなクラシックにも選ばれたこともある。

 

トラック2,モーツァルト 交響曲第40番K.550から第1楽章

カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 

1970年8月  ベルリン・イエス・キリスト教会 07:47

 

モーツァルトの作品は長調の明るさが真骨頂であるが、ごくわずか短調の作品が独特の光を放っている。別名「悲しみのシンフォニー」とも「モーツァルトの涙」とも言われる。

 

トラック3,ヴィヴァルディ『四季』から「春」より第1楽章

独奏バイオリン:アンネ・ゾフィー・ムター カラヤン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 

1984年6月 ウィーン・ホーフブルク・ツェレモニアン・ザール 03:24

 

これも日本ではクラシックといえば『四季』と言われるくらい有名な曲である。

イタリア・ベネチア出身のヴィヴァルディが、季節の移り変わりをバイオリンを中心とした

弦楽合奏で表現し、春を迎えた明るさを独奏バイオリンが駆け抜ける。

 

トラック4,ワーグナー楽劇『ローエングリン』より第3幕への前奏曲

カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 

1974年9月から10月  ベルリン・フィルハーモニー 03:21

 

冒頭から一閃、金管楽器群が咆哮するゴージャスな前奏曲で、聴くたびにわくわくさせられる。

 

トラック5,チャイコフスキー交響曲第5番作品64より第3楽章「ワルツ」

カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 

1971年9月 ベルリン・イエス・キリスト教会  06:26

 

ロシアの宮廷舞踏会で、ワルツを踊るゴージャスな広がり感を楽しむ。

 

トラック6,チャイコフスキー バレエ音楽『白鳥の湖』より情景(第2幕)

カラヤン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 

1959年1月 ロンドン・キングスウェイホール 02:47

 

月の光のなかで白鳥たちが舞うバレエ音楽。ひときわ美しいオデット姫と王子の恋の行方は? 

木管楽器オーボエのソロと弦楽器群による優雅で美しいメロディー。

 

トラック7,ヨハン・シュトラウス『ラデッキー行進曲』

カラヤン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 

1960年9月 ロンドン・キングスウェイホール 02:58

 

ウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサートの最後のアンコールで流れるので有名。

観客の拍手とともにコンサート会場が一体となるあの楽しい音楽である。

 

トラック8,ヨハン・シュトラウスⅡ『トリッチ・トラッチ・ポルカ』

カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 

1975年1月、12月 ベルリン・フィルハーモニー 02:46

 

音楽が動き回る快速で威勢の良い軽快なダンスの曲。日本ではよく小学校の運動会に流れる。

 

トラック9,レスピーギ『ローマの松』より「ボルゲーゼ荘の松」

カラヤン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 

1958年1月 ロンドン・キングスウェイホール 03:00

 

冒頭からいきなり、金管楽器ホルンが咆哮しきらびやかさを演出する。

にぎやかさで気分爽快になる曲で、パースペクティブな広がりや奥行きがオーディオで楽しめる。

 

トラック10,ビゼー『アルルの女』第2組曲より「ファランドール」

カラヤン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 

1958年1月14から16日 ロンドン・キングスウェイホール 03:29

 

ビゼーが付随音楽として作曲した。

南仏プロヴァンスで踊られるお祝いの音楽を元にしたクライマックスで演奏される音楽である。

 

トラック11,ビゼー 歌劇『カルメン』より第1幕への前奏曲)

カラヤン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 

1958年1月14から16日 ロンドン・キングスウェイホール 02:23

 

カラヤンは本録音当時ウィーン国立歌劇場の芸術監督(1956-1964年)だった。

そこでカラヤンはオペラの上演についても知り尽くしていた。

歌劇『カルメン』冒頭で演奏される躍動するテーマと闘牛士の歌は、聴くだけで元気になっていくる。

 

トラック12, マスネ 歌劇『タイス』より「タイスの瞑想曲」

バイオリン独奏:アンネ・ゾフィー・ムター カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 

1980年11月、81年1月 ベルリン・フィルハーモニー 06:51

 

カラヤンは新人の発掘にも熱心で、録音当時新進の女流バイオリニスト、ムターが新人らしからぬ

深々としたむせびなくようなバイオリンを弾いている。

 

トラック13, ベートーヴェン 交響曲第9番『合唱』より第4楽章

カラヤン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 独唱 エリーザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)、

マルガ・ヘフゲン(コントラルト)、エルンスト・ヘフリガー(テノール)、

オットー・エーデルマン(バス) 

ウィーン楽友協会合唱団 1955年7月ウィーン楽友協会大ホール 24:15

 

日本では年末になると必ず聴こえてくるあの『第9』である。加えてこの『第9』はとびきりの録音なのである。若きカラヤンの『第9』ステレオ初録音で2014年にテープが発見された。ウォルター・レッグのプロデュース力は、面目躍如で、 わざわざイギリスからオーケストラをウィーンに連れて行き、黄金のホールといわれるウィーン楽友協会大ホールで贅沢に録音。独唱陣もウォルター・レッグの細君だったソプラノのシュヴァルツコップ(ソプラノ)を始め、圧巻の歌唱力をみせる豪華陣。

 

これら13トラックから、聴く側からすれば、全編通して聴いていくうちにこれはと思う曲を探してみて、自分の好きな方向性の音楽を模索していく、よい道しるべになると思う。 

 

 ※クレジット・データは、筆者が手元の資料をもとにリストアップしたものです。録音年・録音場所がわかるものは明記しました。

 

 

文:野村和寿

 

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執筆者紹介

雑誌編集者を長くつとめ、1975年にカール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団日本公演のブラームス交響曲第1番の最終楽章で、鳥肌が立ち、帰り道をさまよった経験を持つ。爾来、クラシックを生涯の友として過ごしてきた。編集者時代、クラシック以外のロックやジャズといったジャンルのアーティストと交流を深めるうちに、クラシックと、楽しさにおいて何も変わらないことに確信を持つ。以来、ジャンルを取り払ってハイレゾまで、未知なる音の発見の喜びを日々捜している。MQAを提唱しているイギリス・メリディアンには1991年以来2回オーディオ雑誌の取材で訪れ、基本コンセプトに魅せられた。またカメラ好きでもあり、特にドイツの光学製品に魅せられ、ライカのカメラ群とそのレンズの蒐集に執念を燃やしている。

 


『カラヤン ザ・ベスト・オブ・マエストロ』

~アビイ・ロード・スタジオ新リマスターによる

 

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮

フィルハーモニア管弦楽団 

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 

レコード会社 ワーナー・ミュージック・ジャパン

ハイレゾ音源提供 e-onkyo music

  

http://www.e-onkyo.com/music/album/wnr283774/

ファイル形式:MQA Studio 96kHz/24bit 

1,544円(税込価格)現在配信されておりません

 

◎実際の販売価格は変動することがあります。表示価格は税込み価格(消費税8%時)です。



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