1⃣ 2⃣ 3⃣ 


 ザ・ニュー・サウンド・オブ・マリア・カラス

各曲の解説 Part2 トラック24〜トラック46


 

24, ベッリーニ『夢遊病の娘』第1幕より 

アミーナのアリア「親愛なる皆さん、優しいお友達 〜 私には最高の日です」

セラフィン指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団(1955年6月9〜12日、7日ライブ)05:47

  

ベルカントと呼ばれる19世紀の技巧的に難しい歌唱をマリア・カラスは得意としていた。孤児だった村の美しい娘アミーナが、裕福な青年エルヴィーノとの結婚話に、村の人達への感謝を歌う。カラスの美しい歌唱が光り輝く。地主をしている裕福な青年エルヴィーノとの結婚を歌う。

 

25, マイアベーア『ディノーラ』第2幕より ディノーラのアリア「影の歌」

セラフィン指揮フィルハーモニア管弦楽団(1954年9月17-18、20-21日、ロンドン近郊ワトフォード・タウンホール)05:41

 

マリア・カラスお得意の、速くて華やかな装飾を施して歌う(コロラトゥーラ・ソプラノ)アリア。「私にとって愛しい妖精(キメラ)よ、行かないでおくれ。一緒に逃げよう。お前が遠くに離れてしまうと怖くて震えてしまうから行かないで」と歌う。仏オペラの名アリア。

 

26,ヴェルディ『シチリアの夕べの祈り』第5幕より エレーナのアリア「ありがとう愛する友よ」

セラフィン指揮フィルハーモニア管弦楽団(1954年9月17,18,20,21日、ロンドン近郊ワトフォード・タウンホール)03:59

         

物語はシチリアと仏との戦いを描くもので、実は仏総督の息子アンリと、前シチリア王の娘エレーナ公女の悲恋物語。第5幕でエレーナ公女が、歌う有名なアリアで、超人的な技巧と表現力が求められる。

 

27, ヴェルディ『アイーダ』第1幕より アイーダのアリア「勝ちて帰れ」

レッシーニョ指揮 パリ音楽院管弦楽団(1964年4月)07:07

 

囚われの身で奴隷となっているアイーダ(実は誰も知らないがエチオピアの王女)が第1幕で歌う、アイーダは秘かに将軍ラダメスを慕っている。将軍ラダメスはアイーダの父の国との戦いに出向く。アイーダは板挟みになり悲痛な気持ちから神に祈るアリア。

 

28, ドリーブ 『ラクメ』第2幕より ラクメのアリア 「鐘の歌〜あぁ!若いインドの娘はどこへ行ったの?」

セラフィン指揮フィルハーモニア管弦楽団(1954年9月17,18,20,21日・ロンドン近郊ワトフォード・タウンホール)08:05    

 

カラスお得意の超絶技巧を駆使した高音が次々と登場するアリアで、鐘を模したフレーズがあることから「鐘の歌」とも呼ばれる。インドを舞台とした若い娘の物語。

 

29, シャルパンティエ: 歌劇「ルイーズ」 第3幕より  ルイーズのアリア「貴方に身を委ねた日から」

プレートル指揮国立放送局管弦楽団 (1961年3-4月・パリ・ワル・ワグラム)04:45

 

ギュスターヴ・シャルパンティエは、トラック12のマスネに師事した仏のオペラ作曲家。家を飛び出したルイーズが、恋人とモンマルトルのアパルトマンで、パリを見下ろして歌うアリア。「愛を知った時から歓びと同時に悲しみも知る」と可憐に歌う。

 

30,グノー『ファウスト』第3幕より 

マルガレーテのアリア「昔トゥーレにひとりの王がいた…なんと美しいこの姿(宝石の歌)」

プレートル指揮パリ音楽院管弦楽団(1963年5月)11:36

 

独の文豪ゲーテの『ファウスト』が原作の仏オペラ。ヒロイン・マルガレーテは、広場で出会った青年ジーベルに思いを寄せ、糸を紡ぎながら「トゥーレ王の歌」を歌う。マルガレーテは、悪魔メフィストの仕掛けとも知らずに、家の戸口におかれた宝石箱の中から首飾りを取り出して、「宝石の歌」を歌う。まばゆいばかりの華やかな装飾を施した(コロラトゥーラ・ソプラノ)の絶品のアリア。

 

31, カタラーニ『ラ・ワリー』第1幕より ワリーのアリア「さようなら ふるさとの家よ」

セラフィン指揮フィルハーモニア管弦楽団(1954年9月17,18,20,21日、ロンドン近郊ワトフォード・タウンホール)04:50

 

「愛する人との結婚が許されないなら遠くへいきます」というワリーの印象的なシーンに歌われる曲を、マリア・カラスは切々と歌う。どこまでもしみじみとした美しい音楽。映画『ディーバ』(1981年仏)でも登場する曲。

 

32, ヴェルディ『リゴレット』第1幕より ジルダのアリア「慕わしい人の名は」

セラフィン指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団(1955年9月3-16日)07:26

 

リゴレットの娘ジルダは、マントバ公爵(悪役・劇中ではグァルティエル・マルデと偽名を使っている)に騙されて公爵を恋してしまう。「いとしい方の名前は恋するわたしの心を愛の喜びで満たす」と歌う。

 

33,ヴェルディ『運命の力』第2幕より レオノーラのアリア「とうとう着いたわ。主よ、感謝します」

セラフィン指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団(1954年8月19-21,23-25,27日)01:40

 

カラトーヴァ公爵の娘レオノーラは、誤って父を死なせてしまった。復讐を誓う兄ドン・カルロから逃れ、やっとのことで天使の聖母修道院の入口に辿り着き歌う輝きの絶唱。

 

34, ヴェルディ『運命の力』第2幕より

レオノーラのアリア「やっとたどりつきました。あわれみの聖母よ(憐れみの聖母)」

セラフィン指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団(1954年8月19-21,23-25,27日)05:12

 

トラック33に続き、公爵の娘レオノーラは、自分の罪の許しを聖母に乞い、一生を神に捧げるというアリア。力のある太いドラマティックでありながら、艶やかさも求められる迫力のソプラノを聴くことができる。

 

35, ヴェルデマクベス第2幕より  マクベス夫人のアリア「日の光が薄らいで」

レッシーニョ指揮フィルハーモニア管弦楽団(1958年9月19,21,24日)04:11

 

シェイクスピアの原作を、ヴェルディがオペラ化。血で血を洗う正に悲劇のドラマで、カラスは夫をそそのかす悪妻マクベス夫人を歌う。カラス1958年絶頂期の録音で、意志の強さが滲み溢れる凄いアリア。

 

36,チレア『アドリアーナ・ルクブルール』第1幕より

アドリアーナのアリア「私は創造の神の卑しい僕(しもべ)」

セラフィン指揮フィルハーモニア管弦楽団(1954年9月17,18,20,21日、ロンドン近郊ワトフォード・タウンホール)03:49

 

仏・パリのコメディ・フランセーズの楽屋、女優アドリアーナが「私は『詩の抑揚』でしかなく、人間ドラマの『こだま』でしかなく、壊れやすい『楽器』でしかありません」と自負をにじませながら、謙遜して歌うアリア。

 

37, チレア『アドリアーナ・ルクブルール』第4幕より アドリアーナのアリア「哀れな花よ」

セラフィン指揮フィルハーモニア管弦楽団(1954年9月17,18,20,21日、ロンドン近郊ワトフォード・タウンホール)03:12

 

かつての恋人マウリツィオに渡した花のブーケがしおれているのをみて彼を失ったと思って「愛の口づけ、何もかもが終わった 哀しい花よ」とスミレに接吻し、歌うアリア。スミレには毒が・・・。

 

38, ジョルダーノ『アンドレア・シェニエ』第3幕より マッダレーナのアリア「亡くなった母を」

セラフィン指揮フィルハーモニア管弦楽団(1954年9月17,18,20,21日・ロンドン近郊ワトフォード・タウンホール)04:52

 

仏革命で没落した貴族の令嬢マッダレーナが詩人シェニエに生きる勇気を与えられたと歌うアリア。「家は没落し、母も死に、苦しみのとき、私にはシェニエしかいない。愛が訪れて、美しい声が語りかける。(シェニエがかつて私を励ましてくれたように)もう一度生きなさい。きみはひとりではない。私は『愛』なのです」。映画『フィラデルフィア』(1993年・アメリカ)にもこのアリアは登場する。

 

39, グルック『アルチェステ』第1幕より アルチェステのアリア「よみじの神々よ」

プレートル指揮フランス国立放送局管弦楽団(1961年3月28-31日、4月4-5日・パリ・サル・ワグラム)04:26

 

オペラにドラマを導入してオペラを改革した先駆者グルック(1714-1787年)が作曲した近代オペラの先駆けとなったオペラ。王妃アルチェステは神々の恩寵を請うために、自分の命を投げ出すことを決意して歌う。おお、私は一番きれいでしょカラスは本アリアを得意としていた。

 

40,グルック『オルフェオとエウリディーチェ』第3幕より

オルフェオのアリア「エウリディーチェを失って」

プレートル指揮フランス国立放送局管弦楽団(1961年3月28-31日、4月4-5日・パリ・サル・ワグラム)04:28

 

マリア・カラスがズボン(男)役オルフェオを歌っている。オルフェオは死んだ妻エウリディーチェを神の許しを得て冥界から連れ帰ることに成功したが、途中で妻を抱きしめてしまう。それは神の禁じた行為だったので妻は2度目の死を遂げてしまう。妻エウリディーチェが死を迎える場面で、オルフェオが歌うアリア。

 

 

ジョルジュ・ビゼーによるオペラ『カルメン』の中で歌われる有名なアリア「ハバネラ」の動画 (1962年ハンブルグ)本アルバムでは、1964年パリでの録音が収録されている(トラック11)

 

 

41, ビゼー『カルメン』WD31第1幕より

カルメン・ホセのアリア「セビリャの城壁の近くに(セギディーリャ)」

プレートル指揮フランス国立放送局管弦楽団(1961年3月28-31日、4月4-5日・パリ・サル・ワグラム)04:32

 

情熱的な女カルメンを連行しようとする竜騎兵伍長ホセに「セビリヤの城壁の近くにある酒場に一緒にいかない?」と、カルメンはホセを誘惑する。「セギディーリャの歌」と呼ばれている。カラスは隅々まで声を響かせながら力強く歌いまくる。相手ホセ役にはニコライ・ゲッダ。

 

42,ビゼー『カルメン』WD31第2幕より カルメンのアリア「にぎやかな楽の調べ」

プレートル指揮フランス国立放送局管弦楽団(1961年3月28-31日、4月4-5日・パリ・サル・ワグラム)04:17

 

第2幕はフルートで始まる。アリアという、ほんの短い時間のうちでまさにドラマを演出し、聴き手の心をわしづかみにする酒場で、カルメンと仲間たちが踊る。「歌のリズムに身を任せ、何もかも忘れて踊りの海に身を任せる」と歌いかつ踊りテンポ・アップを繰り返していく。『カルメン』のなかでも最大の見せ場。カラスの歌は、どの音域も細かいニュアンスにまで、まさに磨きがかかっている。

 

43, マスネ『マノン』第2幕より マノンのアリア「さようなら,私たちの小さなテーブルよ」

プレートル指揮パリ音楽院管弦楽団 (1963年5月2-8日) 03:23

 

パリの小さなアパルトマンで少女マノンと騎士デ・グリューが甘い日々を過ごしたが、二人には別れがやってくる。「この小さなテーブルは二人には大きすぎるくらい。さようなら私たちの小さなテーブル」と歌う仏オペラ・コミックの軽く美しいアリア。

 

44, サン=サーンス『サムソンとデリラ』第1幕より デリラのアリア「春の訪れ」

プレートル指揮パリ国立放送局管弦楽団(1961年3月28-31日、4月4-5日 、パリ・サル・ワグラム)05:18

 

ドラマティック・メゾ・ソプラノの迫力のアリア。デリラが「私のキスはスズランの香りより白い。春が来れば愛の希望に燃え立つ。愛しい人に私の甘い陶酔を捧げる」と歌い、美女デリラは怪力サムソンを完全に虜にしてしまう。

 

45, サン=サーンス『サムソンとデリラ』第2幕より デリラのアリア「あなたの声に私の心は開く」

プレートル指揮パリ国立放送局管弦楽団(1961年3月28-31日、4月4-5日・パリ・サル・ワグラム)05:20

 

第2幕で、デリラは宿敵である怪力サムソンを誘惑して秘密を聞き出そうとする。デリラの囁くように歌う妖艶なアリア。本来はメゾ・ソプラノのアリアだが、広い音域のマリア・カラスにかかっては、難なく歌い上げている。映画『マディソン郡の橋』(1995年・アメリカ)にもこのアリアは登場している。

 

46, グノー『ロメオとジュリエット』第1幕より ジュリエットのアリア「ああ私は夢に生きたい」

プレートル指揮パリ国立放送局管弦楽団(1961年3月28-31日、4月4-5日、パリ、サル・ワグラム)03:41

 

第1幕で、まだ何も知らないジュリエットが、乳母に向かって無邪気に春を謳歌するワルツを歌う。「まだ夢の中にいさせて。私は夢に生きたいの」。美しく華麗に舞うアリア。

 

 

※クレジット・データは、筆者が手元の資料をもとにリストアップしたものです。

録音年・録音場所がわかるものは明記しました。

 

文:野村和寿

 

次の記事

 

 

サー・ラトルの指揮で楽しむ正統派のイギリス音楽組曲『惑星』!

 

好評公開中

第1回
第1回
第2回
第2回
第3回
第3回
第4回
第4回
第5回
第5回
第6回
第6回
第7回
第7回
第8回
第8回
第9回
第9回
第10回
第10回
第11回
第11回
第12回
第12回
第13回
第13回
第14回
第14回
第15回
第15回
第16回
第16回
第17回
第17回
「MQAで聴く女性ボーカル」
「MQAで聴く女性ボーカル」

 1⃣ 2⃣ 3⃣ 


貴なローズピンクの薔薇”マリア・カラス”
貴なローズピンクの薔薇”マリア・カラス”

The New Sound of Maria Callas

マリア・カラス

 

レコード会社 ワーナー・ミュージック・ジャパン

レーベル名 パルロフォン・レコーズ(ワーナー・ミュージック・グループ)

 

ハイレゾ音源提供 e-onkyo music

http://www.e-onkyo.com/music/album/wnr190295890223/

 

ファイル形式

MQA Studio 96kHz/24bit

2,306円(税込価格)

◎実際の販売価格は変動することがあります。価格は税込価格(消費税10%)です。



雑誌編集者を長くつとめ、1975年にカール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団日本公演のブラームス交響曲第1番の最終楽章で、鳥肌が立ち、帰り道をさまよった経験を持つ。爾来、クラシックを生涯の友として過ごしてきた。編集者時代、クラシック以外のロックやジャズといったジャンルのアーティストと交流を深めるうちに、クラシックと、楽しさにおいて何も変わらないことに確信を持つ。以来、ジャンルを取り払ってハイレゾまで、未知なる音の発見の喜びを日々捜している。MQAを提唱しているイギリス・メリディアンには1991年以来2回オーディオ雑誌の取材で訪れ、基本コンセプトに魅せられた。またカメラ好きでもあり、特にドイツの光学製品に魅せられ、ライカのカメラ群とそのレンズの蒐集に執念を燃やしている。

 


関連記事 MQAで聴くクラシックの名盤


 『スーベニール(思い出)パート1』 トロンハイム・ソロイスツ

 

 

ベートーヴェン 交響曲全集

ダニエル・バレンボイム指揮

ベルリン・シュターツカペレ

 

 

ブラームス交響曲全集

 サー・サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 

フルトヴェングラーの「第九」

ベートーヴェン:交響曲第九番 作品125「合唱」フルトヴェングラー指揮 バイロイト祝祭管弦楽団

 

ヴェルディ:歌劇『リゴレット』全曲 マリア・カラス

『カラヤン ザ・ベスト・オブ・マエストロ』 フィルハーモニア管弦楽団、ベルリン・フィル/ハーモニー管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

シューベルト『未完成』ドヴォルザーク『新世界』より セルジュ・チェリビダッケ指揮 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

 

 

カラヤン!カラヤン!カラヤン!

カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 フィルハーモニア管弦楽団

 

マーラー交響曲第5番

ショルティ指揮

シカゴ交響楽団

 

 

モーツァルト・アリア集~ウェーバー三姉妹 /サビーヌ・ドゥヴィエル

『ザ・ニュー・サウンド・オブ・マリア・カラス』マリア・カラス他                

 

 

マルタ・アルゲリッチ&フレンズ ライブ アット 

ルガーノ・フェスティバル2013

 

 

メンデルスゾーン 交響曲第4番「イタリア」

クリスティアン・ティーレマン指揮 ミュンヘン・フィル管弦楽団

ヴォルフ 歌曲集

エリーザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)ウィルヘルム・フルトヴェングラー(ピアノ)

 

 

ホルスト 組曲『惑星』作品32 サー・サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 

ハイドン 交響曲第88番『V字』から第92番『オックスフォード』他、サー・サイモン・ラトル指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 

『R.シュトラウス 交響詩《ツァラトゥストラはかく語りき》他』

カラヤン指揮 ウィーンフィルハーモニー交響楽団

プッチーニ

歌劇『トスカ』全3幕

マリア・カラス他