山本　敦

MQA試聴インプレッション Part1

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国内からも、2L Music Storeから最新のMQA音源を簡単に購入ですることができた

Audirvanaプレーヤーで再生を試みた。通常のハイレゾ再生の設定のままで問題ない

続いて、肝心のMQA音源の入手方法だが、いまのところ最も手軽にMQAの実力をチェックできる素材としては、ノルウェーの高品位なハイレゾを含む音楽タイトルを提供していることで有名なレーベル＆配信サイト「2L music store」が、MQAを含む聴き比べ用のサンプル音源を公開している。

まずは以下のURLにアクセスしてみて欲しい。

 http://www.2l.no/hires/

2016年2月6日時点でリストをチェックすると、全18作品が「test bench」のページに公開されている。うち14作品が「MQA stereo original resolution」のファイルも含んでいる。

リストに並ぶMQA音源はいずれもファイルサイズが非常にコンパクトであることにも注目したい。

作品によっては44.1kHz/16bitのCDクオリティの音源だけでなく、192kHz/24bit96kHz/24bitのリニアPCM、最大11.2MHzのDSD、あるいはそれぞれの5.1chサラウンド音源まで用意されているものもあるので、これは相当楽しめる。

今回はリストの中からトロンハイム・ソロイスツ楽団とニーダロス大聖堂少女合唱団による「MAGNIFICAT/Et misericordia」（キム・アンドレ・アルネセン作曲）を選んで試聴した。プレーヤーアプリケーションには「Audirvana Plus」、イヤフォンにはFitEarのカスタムIEM「FitEar Air」を使っている。

「FitEar Air」を使ってMQA音源を試聴した

「MAGNIFICAT」のMQA版サンプル音源は44.1kHz/24bit（ステレオ）となっている。MQA音源を再生すると「Explorer2」の左側LEDランプが青色に点灯した。なお、今回がMQA対応ファームウェアの初めてのオフィシャルローンチになるが以前のベータ版のMQA対応ファームウェアで「Explorer2」をテストしていた時点ではLEDランプの点灯は緑色だったので、仕様が微妙に変更されたものと推察される。　

MQAファイルの再生中には左側のランプが青色に点灯する

USB MiniBは、シールド効果の高いSHIELDIO（エイム電子）を使用

女性ソプラノの声の艶やかさ、彫りの深さは圧倒的であり、テクスチャーが驚くほどにきめ細かい。96kHz/24bit（ステレオ）の音源もダウンロードして聴き比べてみると、MQAの音源は情報の密度感という観点からも全く引けを取っている印象がなく、かえってS/Nがよくディティールの精彩感がいっそう引き出される手応えすらある。

CD音質のファイルと聴き比べてみるとダイナミックレンジの表現力にはやはり格段の差がある。声の高域がきれいに伸びて、階調表現がとても緻密だ。テクスチャーの柔らかさにもはっと息を呑んだ。みずみずしい張りのある、透明感あふれる弦楽器の低音からは、楽曲が収録された瞬間のみなぎる緊張感がそのまま伝わってくるような感触がある。

合唱団の声もMQAの音源は非常に伸びやかで、良好なセパレーション特性にはっきりと差が表れる。楽曲中盤に合唱団のハーモニーとストリングスが重なり合うパートでは、高さ方向に限界のない空間の広がりを感じる。パイプオルガンの倍音成分も色濃く浮かび上がる。

これまで隠されていた「Explorer2」のポテンシャルが遂に引き出された瞬間だ。これは否が応でもワクワクとさせられてしまう。なお本作品については2LのサンプルページにはDSD版や5.1chのサラウンドの音源も公開されているので、それぞれをMQA音源を含めて聴き比べるだけでもきっと時間を忘れてしまうだろう。

気に入った音源は2Lのストアから、日本で発行されたクレジットカードを使って簡単に購入できた。筆者も今回試聴した「MAGNIFICAT」の全曲MQA収録のアルバムを即購入してしまった。

もう既に「Explorer2」をお持ちの方は、ご紹介した通りファームウェア更新がとても簡単にできるのでぜひ早めに挑戦してみてほしい。まだMQAのサウンドを体験されたことがない方は、比較的手頃な価格で入手できる「Explorer2」の導入をおすすめしたい。

Atsushi Yamamoto